交通事故の基礎知識

ホーム > 業務のご案内 > 交通事故 > 交通事故の基礎知識 > 大切な人が「死亡」してしまった場合

大切な人が「死亡」してしまった場合

請求権者

一家の大黒柱である夫が死亡し、法定相続人が妻、子2人であったとします。
この場合、妻と2人の子が賠償請求権を持つことは当然です。

ご注意頂きたいのは、夫の両親が健在の場合、両親も「固有の慰謝料」を請求できるということです。民法711条によって、「近親者」(父母・配偶者・子)は固有の慰謝料を請求できるとされているからです。
つまり、この場合の両親は法定相続人ではないのですが、相当額の慰謝料請求ができるということです。

死亡逸失利益

基本的な考え方は、後遺症逸失利益の場合と同じです。算式は

年収額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

ここで、死亡逸失利益特有の「生活費控除率」という考え方が登場します。1人の人が亡くなったことによって、その人が生きていく上で必要な支出(生活費)は不要になります。
もともと、被害者本人の収入のうち、一定割合(生活費)は、本人1人が生きていく上で当然に消費されてしまっていたわけですので、賠償としては、消費されていたであろう生活費は控除する必要が生じるのです。
要するに、被害者本人の生活費を除いた手元に残るお金(家族の扶養に回るお金も含みます)を賠償するのが適正であるという発想です。

生活費控除率については、一家の大黒柱なら30~40%程度、独身男性なら50%程度というのが標準のようです。

死亡慰謝料

くどいようですが、精神的苦痛に対する対価なので、被害者の内心を的確に把握する方法がありません。
裁判実務では、一家の大黒柱の場合ほど高額な慰謝料を認定していますが、一家の大黒柱かそうでないか等により、標準額が設定されています。

なお、この死亡慰謝料には、被害者本人の慰謝料と近親者の固有の慰謝料の双方が含まれていますので、注意が必要です。