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交通事故解決の実際

ひとくちに交通事故といっても、その形はさまざまですので、いくつか例を挙げて解決の実際を簡単にご説明いたします。

ケース1

高速道路で先行車が荷物を落下させ、後続車が回避出来ずに車両が壊れ、運転者もケガをしたというケースです。


先行車と後続車の過失割合

車両同士の交通事故の場合には、通常、双方に一定の注意義務の違反があります。そこで、その注意義務違反の程度から過失の割合を決めることになります。
この高速道路のケースでも、両者に過失が認められます。先行車には荷造りとか架装上の過失が認められ、後続車には車間距離不充分等の過失が認められます。

これまでの判例や学説の積み重ね、研究により、両者の過失割合は事故の態様毎に基本的過失割合が定められ、ある程度「類型化」されております。裁判実務でも、この類型化された基準を参照することが多いです。
この基準は、東京地裁民事交通訴訟研究会編の「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂四版」(別冊判例タイムズNo.16)という文献に掲載されています。判例タイムズの基準を略して[判タ基準]などと言ったりもします。
この高速道路のケースでは、基本的過失割合は先行車6割、後続車4割とされています。

ケース2

ゼブラ帯を直進して来た後続車両と右折のため進路変更した先行車両とが衝突したケースです。


過失割合

前述の[判タ基準]によれば、基本的過失割合は双方5割です。

物的損害

1:車両が壊れた場合、以下のような物的損害(「物損」と略して呼ばれます)が主として認められます。

  • 修理費
  • 修理期間中の代車費用
  • 車両内の装備品等

2:車両が修理により直ればよいのですが、修理の施しようがないほど壊れてしまう場合もあります。このようなケースを物理的全損と言います。

この場合には、その当時の車両の時価額を中古車価格調査表、インターネット等で査定して賠償することになります。
前述した経済的全損というものもあります。修理費が車両の時価額を上回ってしまうことは、被害車両が古い場合にはよくあることです。このような場合には、法的には時価額を賠償すれば足りるとされます。

3:車両が修理により直った場合でも、事故歴があることにより将来の買い替えの際の下取りでその分低い査定しかしてもらえず、その低くなった分を「格落ち」(評価損)と呼んで、現在発生した事故の示談等において賠償すべきかどうか議論になることがあります。前述のとおりです。
この「格落ち」については、判例・学説の考え方も様々で、仮に認めるとしても金額的な幅が大きく、決定的な考えや方式は見当たりません。

ケース3

夜間、泥酔した歩行者が路上で寝てしまい、通りかかった車両がその人をひいてしまったケースです。


過失割合

前述の[判タ基準]によれば、基本的過失割合は双方5割です。

人的損害

ケガをした路上横臥者の人的損害の算定では、死亡事故は別にして、治癒あるいは症状固定までを傷害部分、後遺症が残った部分を後遺症部分と、大きく2つに区分して損害を考えていくことになります。

後遺症部分
後遺症部分では、逸失利益と後遺症慰謝料等が損害の費目になります。
逸失利益とは、後遺症によって将来の収入の減少が見込まれるので、その重さ(等級)に応じてその減少分を損害として賠償しなくてはならないということです。前述のとおりです。

後遺症の重さは、後遺障害の等級(1級~14級)に準じて認定されます。「後遺障害」の認定は、自賠責保険等を取り扱う公的機関が専門医等の意見を聞きながら認定していきます。
その認定に不服がある場合には、異議申し立ての制度が用意されていますが、容易に認められるわけではありませんので、困難を伴います。
このような困難な場面でも、経験豊かな弁護士のサポートを受けられることが賢明かと思います。