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紛争や損害の発生は予防可能です!!

予防法務が重要であるとして、紛争や損害を本当に予防できるのかという疑問が当然のごとく生じると思います。
以下、この点に関し、2つの観点からお話しさせて頂きます。

債権回収(取引先倒産に備えて)

継続的に商品を納入していた取引先が倒産し、売掛金が回収不能になるかも知れないという事態に至ったとします。 多くの中小企業は、何とか力ずくで解決しようとします。取引先の現場に押しかけ、担当者と直談判して商品を引き揚げようとするのです。交渉するならまだ良い方で、中には黙って商品を持ち去る方もいます(当然ですが、これは犯罪です)。

取引先が倒産した場合、通常は破産管財人(弁護士)が選任されますので、力ずくで解決しようとしても結局は無駄骨に終わります。破産管財人に対抗できるだけの法的武装をしていなければ、債権回収は実現しません。 破産管財人と交渉してみたけど、埒があかないので相談に来ましたという方が多くいらっしゃいます。しかし、率直に申し上げて、基本契約書を見せてもらった段階で、「これでは破産管財人に勝てないな。」と思うケースが大半です。契約書すら存在しないというケースも珍しくありません。 債権回収は契約交渉段階から始まっていると言われます。

契約書は、当事者間で「言った言わない」の紛争を防止するための「覚書」程度のものだと認識している方が多いのですが、契約書は「債権回収のための道具(切り札)」であることを肝に銘じて頂きたいのです。

  1. 債権回収の為に少しでも有利な条項を設定し、
  2. 債権回収の為に少しでも有効な担保を設定し、
  3. 債権回収の為に裁判で勝てる証拠を整え、そして、
  4. いざとなったら即座に回収作業に着手する

という一連の作業を意識的に実行しているか否かによって、債権回収の明暗はくっきりと分かれます。

そして、これら一連の作業は、顧問弁護士が的確にアドバイスすることによって実現可能なものばかりです。つまり、顧問弁護士を予防法務に活用することによって、損害の発生を未然に防ぐことは十分可能なのです。

大企業の法務部の主な仕事の一つが債権管理だと言われています。中小企業こそ、債権回収の失敗が企業存亡に直結するのですから、予防法務の重要性を改めて認識して頂きたいと思います。

ハインリッヒの法則(顧客・従業員から訴えられない為に)

とは言っても、企業側が、法的問題が生じる余地があることにさえ気付いていない場合、顧問弁護士に事前に相談すること自体が期待出来ないのではないか、との御意見もおありでしょう。
勿論、顧問弁護士が経営のあらゆる場面をつぶさに観察して違法行為の有無をチェックすることなんて出来ません。

しかしながら、違法行為をしている企業の場合、訴訟として訴えられる前段階で必ず何らかの兆候があるはずなのです。ここで参考になるのはハインリッヒの法則というものです。米国のハインリッヒ氏という技師が労働災害の発生確率を分析した法則です。
ヒヤリ・ハットに気をつけて業務改善をこの法則によりますと、1件の重傷事故の裏には29件の軽傷事故があり、その裏にはさらに300件の事故に至らないヒヤリ・ハット事例があるそうです。

このことから、ヒヤリ・ハット事例が発生した段階で業務を改善すれば事故は発生しない、軽傷事故が発生した段階で業務を改善すれば重傷事故は発生しない、つまり、事故は未然に防止できるとの教訓が導かれています。

企業経営についてもズバリ同じことが言えるでしょう。

1件の重大な訴訟が提起されるまでには、その10倍以上のクレームがあったはずですし、さらに100倍以上のヒヤリ・ハット事例があったはずなのです。企業経営におけるヒヤリ・ハット事例とは、クレームに至らないまでも、役員や従業員が「しまった!」と思ったり、「おお、危なかった~。」と思ったりした事例のことです。

顧問弁護士とよく連携が取れていれば、「先日、こんな事がありましてねえ。事なきを得ましたけど。ハハハ。」などと雑談の最中にでも発言されれば、顧問弁護士から「いや~、それはまずいですよ。早急に改善しないと、そのうち訴えられますよ。」などとアドバイスされることでしょう。
このようなアドバイスが無ければ、日常のヒヤリ・ハット事例を見過ごしたり、放置し続けてしまうこととなり、ついには取り返しのつかない危機的状態に至ってしまうのです。
顧問弁護士との日常的な連携の重要性が御理解頂けると思います。