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事故・事件に関するトラブル

労働災害

労働災害(労災)とは、業務上の事由又は通勤途上で、負傷、疾病、障害、死亡する災害のことを言います。
労働災害をカバーする労働者災害補償保険(労災保険)は、労働者の資格如何に関わらず、全ての労働者(アルバイト、パートを含む)に適用されますので、まずは、労災保険の適用を検討すべきことになります。なお、労災保険については、事業主が無過失でも適用されます。

しかしながら、労災保険は保険給付額に限度がありますし、慰謝料が支給対象となっていないなど不十分な点がありますから、被害者としては、事業主の過失(管理責任・監督責任)を問えないかを検討する必要が生じます。
事業主の過失が問えれば、事業主に対する損害賠償請求が成り立ちます。

製造物責任・瑕疵担保責任

製造物の欠陥により自己の生命、身体又は財産が侵害された場合は、被害者としては、メーカーに対して製造物責任、売り主に対して瑕疵担保責任を追及することになります。

製造物責任については、製造物責任法(PL法)が重要となります。
製造物責任法とは、製造物(製造又は加工された動産)の「欠陥」と損害との「因果関係」さえ被害者が立証すれば、メーカーが無過失であっても損害賠償責任を負うと規定した民法の特別法であり、被害者の立証負担を軽減したものです。

また、瑕疵担保責任とは、売買契約において、買主が売主から目的物の引渡しを受けたものの、目的物に「隠れた瑕疵」(簡単に申し上げれば、通常では発見できないような欠陥のことです)があったことが判明した場合、買主がこれを知らなかった場合は、売主が無過失であっても損害賠償責任を負うというものです。
瑕疵のために契約の目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることもできます。

施設内事故

直接の加害者が存在する場合は、その者に対する損害賠償請求を考えますが、通常は賠償能力の点で不安が生じますから、被害者としては、施設を管理している者の過失(管理責任・監督責任)が問えないかを検討します。 施設管理者の過失が問えれば、その者に対して損害賠償請求します。

また、直接の加害者が存在しない場合でも(例えば、施設内での転倒事故など)、施設の設置や保管状況に欠陥があれば、工作物責任を問える可能性が生じます。工作物責任が問える場合、施設の所有者は、無過失責任を負うことになります。

その他の事故

直接の加害者が存在する場合は、その者への責任追及を検討します。
ここでも、賠償能力に対する不安がありますから、勤務先に対する使用者責任追及や保護者(親)に対する監督者責任追及を検討します。

しかし、使用者責任については、仕事中の加害事故でなければ対象外ですし、親の監督者責任については、子が責任無能力(通常は、11~12歳がボーダーラインです。つまり、基本的に中学生以上は責任能力ありとされてしまいます。)でなければ適用できません。

セクハラ・パワハラ・アカハラ

セクハラ

セクハラとは、セクシャルハラスメントの略で、「性的嫌がらせ」と訳されています。
セクハラには、対価型セクハラ(例:職場などにおける立場・同調圧力・階級の上下関係を利用し、下位にある者に対する性的な言動や行為を行う)と環境型セクハラ(例:職場などで、ヌードカレンダーなどの人によっては不快感を起こすものを掲示したり、性的な冗談、容姿、身体などについて会話したりする)があるとされていますが、類型はともかくとして、被害者が性的な不快感を抱けばセクハラに該当する可能性があります。

パワハラ

パワハラとは、パワーハラスメントの略で、「権力・地位を利用した嫌がらせ」という意味で用いられます。
会社などで職権などの権力差(パワー)を背景に、本来の業務の範疇を超えて継続的に「人格と尊厳を傷つける言動」を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与える行為のことです。

アカハラ

アカハラとは、アカデミックハラスメントの略で、大学などの学内で、教授等がその権力を濫用して学生や配下の教員に対して行う、数々の嫌がらせ行為を指します。
基本的には、上下関係を利用した嫌がらせであるためパワハラの一類型だと考えられますが、大学などの閉鎖的環境では、企業よりもコンプライアンス意識が希薄である場合が多く、特に社会問題として捉える観点からアカハラという呼称が誕生したと思われます。

セクハラ・パワハラ・アカハラのいずれにおいても、損害賠償請求や労働者としての地位確認請求などを検討することになります。

犯罪被害

犯罪に巻き込まれた場合、刑事上の責任を追及するには刑事告訴をします。
犯罪被害者の場合、加害者が罪に服すること自体が精神的に救済される唯一の手段となる場合もありますので、厳格な刑事処分が下るか否かを最後まで見届ける必要があります。近時話題になっている「被害者参加制度」を活用することも検討されます。

しかし、加害者が厳しい刑事処分を受けたとしても、被害者の精神的・経済的損害が回復されるものではありませんので、可能な限り、民事上の責任も追及せねばなりません。
ただ、加害者本人には賠償能力が無い場合がほとんどですので、実効性のある手段を模索していくことになります。
この点、制度として知っておきたいのは、以下の3つです。

  1. 損害賠償命令制度
  2. 刑事和解制度
  3. 犯罪被害給付制度
1:損害賠償命令制度

刑事裁判において審理の対象となった犯罪事実に基づく被害者の損害賠償請求について、その刑事裁判手続を担当した裁判所が民事の審理も行い、被告人にその賠償を命ずる手続です。
刑事手続と民事手続とは全く別個の手続であるため、従来は、被害者としては、賠償を求める場合には、ゼロから証拠を収集して民事訴訟を提起する必要がありましたし、費用も相当高額になるのが一般でした。
この制度を活用することによって、簡単かつ廉価(一律2000円の費用負担)に賠償請求を求めることが出来ます。

2:刑事和解

刑事被告人と被害者(遺族)との間で、犯罪から生じた損害などに関する民事上の請求につき、裁判外で示談が成立した場合、刑事の裁判所にその示談の内容を公判調書に記載してもらうものです。
基本的に裁判外の示談だけでは強制執行は出来ないのですが、この制度を活用することにより、強制執行が可能になります。

3:犯罪被害給付制度

殺人等の故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族又は重傷病又は障害という重大な被害を受けた犯罪被害者に対し、国が犯罪被害者等給付金を支給し、その精神的・経済的打撃の緩和を図り、再び平穏な生活を営むことができるよう支援するというものです。 申請の受付は、申請される方がお住まいになっている各都道府県の警察本部又は警察署で行っています。