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遺言・相続コラム12 遺骨の帰属

裁判で遺骨の引渡しを求めた例は、公刊されているだけでも相当数見受けられます。 このような紛争の背景には、おそらく、相続人間での感情的な対立も背景にあるのではないかと推察されるところです。
そもそも、遺骨というものが所有権の客体となるのか(人が「所有」することができるものか)という議論があります。 否定説は、遺骨には経済的価値がないことや、遺骨は埋葬・礼拝・供養を目的とするものであり、それらの行事の主宰者に一定の管理権を認めれば十分であるといったこと等を理由とするものですが、現在の裁判例・学説では、遺骨が所有権の客体となることを認めるのが一般的です。
そこで次に、「誰に」所有権が帰属することになるのかが問題となります。 この問題について、大昔(大審院)の判例は、遺骨も相続の対象になり、相続人に帰属するとしていました。 しかし、遺骨は、被相続人が生前保有していた財産ではないのですから、これが相続により承継されると考えることには無理があるように思われます。
最近の判例には、遺骨は祭祀主宰者に帰属するとした原審(高等裁判所)の判断を正当として是認したものがあります(平成元年7月18日最高裁判決)。 実際にも、わが国では遺骨は祭祀の対象として取り扱われていますので、この考え方が実情に合致していると言えるのではないでしょうか。
参考条文【民法】 (祭祀に関する権利の承継) 第八百九十七条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。