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交通事故コラム7 交通事故車両の評価損

交通事故によって車両に発生する損害としては、修理費のほかに、評価損(格落ち)が挙げられます。

1 評価損(格落ち)とは?

    評価損とは、交通事故によって「事故車」となったことによる車両の売却時価格の低下を意味し、これは、さらに下の二つに分類されています。
   
  (1)客観的評価損
    これは、交通事故にあったことによって車両に生じた実際上の不具合であり、?修理をしても、技術的な限界から、顕在的に自動車の性能、外観などが交通事故の前より低下してしまう場合や、?交通事故による衝撃のために、車体や各部品に負担がかかり、修理後間もなくは不具合がなくても、時間が経つにつれて不具合が発生しやすくなるという場合があります。
   
(2)主観的評価損
    ?修理後も隠れた損傷があるかもしれないという懸念が残ることや、?交通事故にあったということで、縁起が悪いと嫌われる傾向があることから車両の取引価値が低下してしまう場合を指し、こちらは、交通事故にあったことによる実際上の不具合の有無は関係ありません(取引上の評価損)。
   
  上記のうち、取引上の評価損については、現実の不具合が生じていないことから、これを否定する見解もありますが、交通事故歴の存在により、車両の交換価値が低下すること自体が損害と認められるとして、評価損の発生を肯定する裁判例も多数あります。
2 算定方法
    しかしながら、交通事故があれば必ず評価損を認めるというわけではなく、車種、登録年数、走行距離、修理の程度等を考慮し、修理費の30%を上限に評価損を認めるというのが実務の大勢と言われています(おおよその目安としては、外国車であれば初年度登録から5年、走行距離6万キロメートル程度、国産人気車であれば3年、4万キロメートルを超えると認められにくいと分析されています)。
    もっとも、これはあくまで目安であり、車種や初度登録からの期間等によっては、それを超える認定もあり得ますから、個別の事案毎の検討が必要になってくるかと思います。