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人生色々 裁判官も色々

初投稿した時はすぐ次の投稿をしようと思ってましたが、ずるずる1カ月を経過しました。今回は30年の経験で、印象に残った裁判官を紹介してみようと思います。あまり具体的に書くと不都合もありますので抽象的な表現も多くなるかもしれません。

かなり以前のことですが、私の書いた書面をなぜか過大に評価してくれる裁判官が見えました。ある裁判で、通常勝つことは極めて難しい事件を、いとも簡単に勝たせてもらいました。もちろん相手は控訴しました。控訴審の裁判長も1審の結論に納得しなかったようでした。控訴審で行われた証人尋問では、裁判長が尋問に介入し強く誘導するのです。私の反対尋問を無視した異常ともいえる介入に、私はまだ若かったのですが、反対尋問を自由にさせてほしいと要請しました。そうしましたら裁判長は激怒し、「裁判長に向かって異議を言うのか」と言って椅子を反転してしまいました。右陪席の裁判官も「証人の真意を確認しているのに」と裁判長を擁護する発言をしました。ところが左陪席の裁判官は終始黙っていました。この裁判はその後、担当の左陪席の裁判官により、1審以上の強固な理由により当方の勝訴となりました。

このように、1審の裁判官は私との相性が良かったのか、難しい事件を勝たせてくれましたが、反対に、控訴審の裁判長は相性が悪く、強引な介入をし逆転敗訴の可能性もありました。ところが、左陪席の裁判官は素晴らしい裁判官で、裁判長の顔色を見ながら判決を書くのではなく、冷静に事件を見て判決を書いてくれる裁判官でした。弁護士にとっては、事件の良し悪しだけでなく、どのような裁判官に担当されるかも、重要なことです。