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遺言・相続コラム5 いい遺言の日

11月15日は「いい遺言の日」です。
由来は、11=「いい」、15=「いご(ん)」という語呂合わせです。
2006年に、りそな銀行が日本記念日協会に申請し、同協会認定の記念日とされました。
このように歴史の新しい記念日ですが、昨今のエンディングノートの流行と引っかけてメディアでも取り上げられるなど、十分定着した感があります。
ちなみに、4月15日も「遺言の日」とされています。
これは、近畿弁護士会連合会が提唱したものであり、現在は、三重弁護士会を含む各地の弁護士会で、遺言・相続に関する相談会などが毎年行われています。
これも由来は「よいいごん」という語呂合わせからですが・・・
ところで、そもそも「いい遺言」とはどのような遺言でしょうか。

1 法律で定められた方式を守っていること
これは大前提です。
遺言は、既に亡くなった人の意思で、生きている人々の財産関係に影響を及ぼすわけですから、法律で厳格に方式が定められています。
法律で定められた方式を満たさないと、そもそも遺言が無効なものとなってしまいます。
2 遺言者の意思表示の内容が明瞭に分かるものであること

通常、遺言の内容が問題となるのは、遺言者が亡くなった後であり、遺言に記載されている意味内容が不明確であっても、遺言者に聞いて確認するということはできません。
もし、遺言の内容が色んな意味にとれる内容であれば、その解釈を巡って紛争となる可能性もあります。
そこで、遺言者の意思表示の内容が明瞭に分かることが大事です。
例えば、相続財産の分け方に関する遺言であれば、対象となる財産やその配分について、具体的に特定されることが望ましい場合が多いでしょう。
3 死後に紛争の火種を残さない内容であること
遺言は死者の最後の意思表示であり、法定された事項について、法律上の方式に則って作成されている限り、原則として、その内容は尊重されます。
しかしながら、一定の範囲の相続人については、遺言によっても侵害することのできない、最低限度の保護が与えられています。
これを「遺留分」といいます。
遺留分を侵害する遺言も、後日、遺留分を取り戻される可能性があるというだけで、直ちに無効というわけではありません。
とはいえ、遺言によって新たな争いが生じることは、望ましいことではないでしょうから、いい遺言と言えるためには、このような事への目配りも必要かと思います。
上記のほかにも、相続税など税法上の手当てが必要となる場合もありますし、また、中小企業の経営者の方であれば、中小企業経営承継円滑化法などの新たな制度を利用し、事業を円滑に跡継ぎに引き継ぐことを検討されてもよいかもしれません。

遺言について疑問・悩みが生じた場合には、専門家にご相談下さい。